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インプラント周囲の炎症について
2013年12月5日
天然歯の歯根は歯根膜という弾力のある繊維で歯槽骨と結ばれているので、それがクッションの役目を果たしています。 インプラントは歯を抜いてからその部分に打ち込むので、その歯根膜がありません。そのため大きな咬合力がかかります。歯ぎしりや噛みしめなどの過剰な力が加わると、上部構造が欠けたり、アバットメントと呼ばれる、上部構造の中にある部品が折れたりすることがあります。そのときは、部品の交換で対処ができます。また、予防のために、寝るときに口の中にマウスピースを入れていただくこともあります。
インプラント周囲の粘膜は天然歯ほどは強くなく、歯根膜がないため、インプラント体が直接歯槽骨に結合しているからです。
歯磨きが悪いと、プラーク中の細菌によって、歯周病と同じ状態になり、放置すると最後はぐらぐらになってしまいます。初期では、インプラント周囲の粘膜の炎症で、歯槽骨にはダメージは及んでいません。これをインプラント周囲粘膜炎といい、これは、ブラッシングの改善と歯科医院でのクリーニングによって、炎症がとまり、元の粘膜に戻ります。
しかし、炎症がもっと深く進行すると、インプラント体の結合が損なわれてしまいます。これをインプラント周囲炎といい、最悪の場合は、インプラント体は抜けてしまいます。
治療法としては、粘膜を切開して、深部の汚れを徹底的に洗浄、除去しますが、インプラント体の構造が複雑なので、完全に清潔にするのは困難です。
時間と費用をかけたものなので、あとは患者さん自身の歯磨きと、歯科医院でのメインテナンスが最重要なのです。